以下は、掲載写真の分譲地を購入した方に実際に起こった問題です。
土地購入に際して、「建築のプロのサポートが、どのように役に立つのか」という事例としてお読みください。

このケースは、既に土地を購入済みということで、建物着工前に、下記内容の書面を作成し、購入者名にて宅建協会に苦情を申し出、不動産業者側に瑕疵に対する費用負担を求めることができたというケースです。

ポイントは、素人では分かりにくい程度の土地の傾斜によって生じる「建築時の追加費用」を前もって見抜けるか否かということです。

苦情書面内容

  •  住宅ローンを組んでいることからも、家を建てることを承知しているはずであるにもかかわらず、排水(浄化槽)の排水勾配についての説明や、家を建てるにあたって必要不可欠な土地造成(土盛り)費用の説明がされなかった。もちろん重要事項説明書にも記載はない。
  •  隣地境界ブロック設置に関しても、当初は芯積みではなく内積みにしてくれとの指示があったが、それにより新規の隣地購入者がブロック設置をしない可能性もあり、不公平であると主張した。また、現実的に両宅地の住宅建設時において土盛りをしなければならないのであるから、このブロックは単なる境界ブロックというよりも補強された土留めブロックとして設置しなければならないことも主張した。これにより、当初は当方だけが全額負担させられるところを、半額分を隣地購入者に負担させることに変更になった。
  • また、不動産取引の実情として、隣地購入者にブロック費用の負担を求めることは一般的に考えられず、結果、値引き分として相殺されることが通常である。そうなるといかに半額負担といっても、土留めブロックの費用は当方のみが支払い、残りは現売主が負担ということになるので不公平感を否めない。
  • 現況においては土留めをしない限り、住宅建築をできないのであるから、事前の説明が無い場合は、明らかに瑕疵であり、本来は土盛りとそれに付随する土留め工事は売主側が全額負担すべきである。また、その説明を怠った仲介業者の責任も問われるべきである。
  •  本物件は旗竿状の進入路になっており、奥の隣地所有者と共有使用(所有権は別)するものである。契約前の説明では、後で進入路部分の舗装工事を現売主側の費用負担によって行うとの説明があった。しかし、排水勾配の為にはこの進入路についても土盛りが必要である為、新築工事中に土盛りをしなければならない。このとき、2M分の当方所有地通路分のみに土盛りを行うとなると、奥に行くにつれて通路の左右に段差ができることになり、車両の進入が不可能になってしまう。それにもかかわらず、当方の所有地については、仲介業者は土盛りにかかる費用は全額当方が負担することによって行うことを指示した。
  • また、後に売主側で舗装工事を行うという点についても不可解な問題がある。当方はすでに建築工事(確認申請取得済み)を履行しているが、進入路を共有使用する隣地についてはまだその段階ではない(成約済みかも不明)。ということは、当然ながら当方の入居が早くなるわけであるが、果たして入居前に舗装工事が完了するのかが明確ではない。もし、舗装工事が入居に間に合わないとすると、地中に埋設した給排水官の上を車両が通ることになり、損壊の可能性等を含め、舗装路でないことによって生活全般に支障が生じることになる。
  • これは「余計なおせっかい」と仲介業者に言われてしまったことであるが、例えば、舗装工事を当方の入居前に終わらせるとすれば、隣地分の給排水・ガス官工事を舗装前に終わらせておく【逃げ工事】が必要となるはずである。舗装後に掘削工事をするというのはあまり考えられないことであり、そうなれば、当然のこととして、隣地に通じる排水勾配を考慮した土盛りを行うことが必然となる。

このように、宅地販売としての必然的要素の説明もないまま、仲介業者は売主ではないから責任が無いという態度は、仲介報酬をとるプロとして疑問を感じざるを得ません。

不動産仲介業者の多くは、取引やローンには詳しいものの、建築の経験・知識に乏しいためにこのようなことが起こるのです。実際にこのようなケースはよくあることです。

住宅地として適さない土地ではありませんが、このような対応ができれば、建築時に土地造成の追加費用を負担しなくても済むことになります。

思い立ったら、まずは弊社RCdesignまでお気軽にご相談ください。

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